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帯状疱疹後神経痛予防のための神経ブロックの有効性
帯状疱疹後神経痛予防のための神経ブロックの有効性
帯状疱疹後神経痛(PHN)は帯状疱疹の最も頻度の高い合併症であり、持続する痛みがあり、日常生活動作を障害することから、その予防が重要です。PHNは水痘・帯状疱疹ウイルスが初回感染後に脳神経及び脊髄の後根神経節に潜伏したのち、再活性化することにより引き起こされる末梢神経障害性疼痛です。水痘・帯状疱疹ウイルス感染により引き起こされる痛み(ZAP)への治療として、薬理学的治療の有効性は示されていますが、神経ブロック(硬膜外ブロック及び末梢神経ブロック)による治療の有効性を支持するデータは限定的です。そこで、硬膜外ブロックおよび末梢神経ブロック、交感神経ブロックがPHNの予防に有効であるかどうかを検討しました。本研究は多施設、ヒストリカルコホート研究であり日本ペインクリニック学会認定5施設に、発疹発症から90日以内に急性期帯状疱疹で受診された患者を対象としました。患者背景(年齢、性別、BMI)および臨床所見として前駆痛の有無、初診時VAS、アロディニア、知覚低下、既往歴(糖尿病、膠原病、腫瘍性疾患)を測定しました。神経ブロックを行う確率を傾向スコア(PS)としロジスティック回帰分析を用いてPSを求め、PHNの予測確立を11の変数を用いてロジスティック回帰分析を用いて計算しました。上記期間に関連施設を受診した患者のうち500余名を解析しました。その結果、全集積データでは有意な差は認めませんでしたが、受診前期間を3つの層に分けたところ、病院受診までの期間が短くなるほど神経ブロックが有効な可能性がありました。PHNへの移行に関しては、神経ブロックが影響する可能性があり、神経ブロックの影響は発症からブロックまでの期間が短いほど有効であると考えられました。